掲載紙 :別荘&リゾート‘91春号
       (住宅新報社 発行)

1989年竣工

所  在:千葉県夷隅郡御宿町
用  途:別荘(企業保養所)
規模構造:木造 2階建て
       (延床面積:169.02u)

設計の条件
 機械部品製造販売会社の社長家族の別荘兼、会社の保養所として建てられました。
 敷地は、マリンスポーツ・海水浴で賑わう千葉県の御宿海岸から、車で10分程度のところにあり、南道路で周囲は、田園が広がっています。いわゆる行楽地から一歩離れたのどかさの残る環境です。
 社長の別荘兼、会社の保養所と言うことで、特に社内ではフレンドリーな人間関係を重んじていることもあり、皆で楽しめる建物づくりを望まれました。
イカ釣り漁船と月光
 ここ御宿は、詩「月の砂漠」の発祥の地であり、海岸にはラクダのモニュメントも存在しています。また、夏の行楽地として名高いだけではなく、漁業も主要な産業であり海産物も大変豊富です。
 建物を計画する上で、当地を特徴付けるこの2点に注目しました。建物のデザインモチーフとしてイカ釣り漁船の甲板と船室、そして月の光をキーワードとして考えました。そして生まれた、甲板の開放感を味わえるラウンジから続くデッキ、太陽の角度(時間)で満月から三日月まで現れる船首の円形の向かい合う開口は、賑やかに、または安らかに過す休日の時間を非日常的な空間のなかで演出してくれるものと考えます。